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2003/08/26




日曜日と月曜日の日記


・日曜日・



 停電の夜はかなり暑かったけれど、あれから10日経った今日は日中も涼しかった。夏もだんだんと終わりに近づいているのだろう。それでも近所のバスケットコートでは、少年たちが相変わらずボールに群がっている。今年の夏はウルトラ・ビッグ・サイズの白いTシャツが流行ったので、コートでもいくつもの白い影が走ったり、ジャンプしたり、シュートしたりしている。


 そういえば、去年までは“ショーンジョン”のTシャツをやたらと見かけたけれど、今年はあまり見ない。さすがのP・ディディーも霊験あらたかではなくなってきたのか。いずれにせよ、ストリートブランドのTシャツは安くても25ドルはするから、3枚10ドルの白いノンブランドTシャツの流行は少年たちには有り難かっただろうな。それに飽き足らないファッション上級者は白をベースに、ベイビーピンクをアクセントカラーに使っている。マッチョ嗜好なヒップホップ世代が淡いピンクを着出したのには驚いたけれど、やはり数は少ないし、そもそもかなりのセンスがないと着こなせないみたい。


・月曜日・



 ハーレムにノース・ジェネラル病院という大きくてきれいな病院がある。入院している義母を見舞いに行って驚いた。入院病棟の壁にキース・ヘリングの版画がたくさん飾ってあるのだ。自筆のサインがあったから、複製ポスターではなく本物だ。


 病室で寝ている黒人やラティーノのお婆さんたちは、キース・ヘリングのことなどもちろん知らないだろう。彼は80年代にダウンタウンをベースに活動し、特に地下鉄駅の黒い広告用スペースに白いチョークでパフォーマンス的に描いた絵で有名になった。エイズで88年に他界したけれど、ニューヨーカーにとっては永遠のアイコンともいうべき存在だ。けれど彼の絵は、ハーレムのお婆さんにとっては「子どものラクガキみたいにヘタな絵」だろう。ハーレムとキース・ヘリング……妙な取り合わせではある。一枚くらい、私がいただいてもバレないか?


キース・ヘリング公式サイト 
http://www.haring.com


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