NYBCT

2004/01/08


ハーレム mini ジャーナル
-2003年12月-

12/16
クリスマスの買い物客で大混雑の子供服売り場。黒人の若い女性が「あなたの携帯でウチにかけてもらえない? 公衆電話まで行く時間がないの」「モシモシ?ママ? 子供たちのプレゼント買うからサイズ教えて!」「あなた、そのペンで私の手のひらにメモして! 14歳用セーターと、3歳用パンツと…」。


12/17
ハーレムの地下鉄駅に連続レイプ犯の指名手配ポスター。警察に通告したら1万ドルもらえるとある。それをコラム用に撮影していたら、電車を待っていた黒人男性に「なぜブラザーの写真を撮ってるんだ!?」と訊かれた。たとえ見ず知らずの犯罪者でもブラザーはブラザー。他人種に取り沙汰されるのを見過ごせないのだ。


12/18
NY中がクリスマス・ショッピングで沸き立った怒濤の土日。明けて月曜日の午前中に再びオモチャ屋へ行くと、金髪のバービーは見あたらず、黒人バービーばかり。ラティーノの女性客がため息まじりで話しかけてきた。「うちの娘はブロンドの人形でなくちゃイヤだっていうのよねぇ」。これが金髪バービー売り切れの理由。



12/19
ハーレムにブラックサンタがやってきた。どかっとイスに座り、子供をヒザに乗せて「はい、チーズ」を繰り返すのだ。一段落ついたところで通りかかった私に「写真を撮っていかないか?」。さすがにヒザには座らず、横に並んでツーショット。「何人くらい撮ったの?」と尋ねると、「70人くらいかなぁ。疲れちゃった」。



12/20
ハーレムの狭いアパートで、こっそりトラを飼っていた男が今日、記者会見を開いた。危険罪で逮捕され、有罪の場合は最長禁固7年。自分が噛まれたにも関わらず、「トラが恋しい」「動物の聖域を作りたかったんだ」「それがボクのワールド・ドリーム」「現在は滅亡の世界だからね」。なんだかマイケル・ジャクソンに通じるな



12/21
去年のクリスマス直前。配達された新聞に配達人の名前と住所を書いたメモがはさまれていた。「クリスマス・チップを送ってくれ」ということだ。けれどその作戦は失敗したようで、今年は宛名記入済み&切手も貼ってある封筒が入っていた。彼の名前はホセ。ラティーノだ。だけど切手はユダヤ教の祝日ハヌカのデザイン。



12/23
ブルックリンでピザの配達員が強盗に撃たれて死んだ。ピザを客の住むアパートに届け、客がドアを閉めたとたんに階段の踊り場に潜んでいた強盗にやられたのだ。配達員はパツドニコフという名前のウクライナからの移民。銃声を聞いた直後に配達員を助けようと自宅から飛び出した客はフセインという名のアラブ系青年。



12/24
とあるイタリアン・レストランにて。クリスマス・デコレーションがあるのに、リッチなユダヤ系住人の多い場所柄、ユダヤ教のお祝いハヌカの飾りもあり。ウエイターはラティーノで、なぜか私を同胞と勘違いしてスペイン語で注文を取りに来たし、客にはハンサムな黒人男性カップルもいた。ニューヨークって良いな、と思える瞬間。



12/25
SIDS(乳幼児突然死症候群)の原因は解明されていないものの、アメリカ伝統の「うつぶせ寝」もアヤシイとされている。そしてハーレムにはSIDSで死んでしまう赤ちゃんが異常に多い。なぜなら、しっかり者のお婆ちゃん、ひい婆ちゃんが家の中を仕切っていて、昔ながらのうつぶせ寝信仰が生きているからだとか。



12/27
クリスマスの夜、ブロンクスからハーレムの自宅までタクシーに乗った。イエローキャブではなく、リブリーキャブと呼ばれる普通乗用車のタクシーで、メーターはなく相場制。運転手は、この辺りでは珍しいアラブ系。私:「ハーレムまでいくら?」 運転手「1500万ドル!」



12/28
近所にカレンという素敵な黒人女性がいる。昨日、雑誌を見ていたら、そのカレンがダイエット・プログラムの「体験前・体験後」記事に登場していて驚いた。昔のカレンは115kgもあって冴えないワンピース姿だし、顔も別人のよう。「私ね、“ものすごく”太ってたのよ」と言っていたのは誇張ではなく、本当だったのだ。






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