NYBCT

2005/04/02


ハーレム mini ジャーナル
-2005年2月&3月-
2/17
黒人が大切な顧客であるマクドナルドは1年中「毎日、黒人史を祝おう!」なるキャンペーンをしているが、2月は黒人史月間なので本気。創刊60周年となる黒人誌エボニーのポスターを無料配布している。1949年ビリー・ホリデー「もう麻薬やってないわ」インタビューの号は、なんと定価30セントだったそうだ。



2/24
通販でしか買えない、大人のニキビ予防ローションのCMでヴァネッサ・ウィリアムズとP-Diddyが対談。「2週間でボクの肌がキレイになったんだ。みんなに教えてあげなくちゃと思って」
そういえばLLクールJも女性用ボディシャンプーのCMに出てるよ。ヒップホップの一般化現象ですな。



3/1
ハーレムの地下鉄駅で列車を待っていた。寒い日の夕刻だった。/スーツにクラシックな帽子のお爺さんが、私に向かって自分の腕時計を指差している。聾唖者だ。/時計を見ると1時間ほど違ってる。「正しい時間を教えてくれ」と言っているのだ。/私の時計を見せると、今度は自分の時計のリューズを指差す。小さなリューズをつまむことが出来ず、私に「針を合わせて欲しい」と頼んでいるのだろう。/直してあげているうちに列車が来た。お爺さんは私の腕に軽く触ってから列車を指差した。「君はあれに乗るんじゃないのか」と訊いているのだ。/時刻を合わせてから電車に飛び乗った。



3/3
ヒップホップ系アーティストたちとの茶飲み話から。「ここぞという時にはケチらず良い機材を買え」「ただし他人のモノが使えるときは利用しろ」 彼らは「投資 investment」と「ハスリング hustling」の使い分けによってニューヨークをサバイバルしてきたのだ。ストリートライフは奥が深いぞ。

*hustling=いろいろな意味があるけど、ここでは抜け目なく他人(の所有物&金)を利用する、みたいな感じ。ハスラーとはそういうことをする人。詐欺師。街頭の違法商品売り。ビリヤードする人のことではありません。



3/5
NYのヒップホップ系ラジオ局HOT 97で50セントのクルーが撃たれた。犯人は敵対するラッパーGame一派だといわれている。NY市警は「ラップ戦争などない」と言いながらも警備を厳重にすると発表。
一般人が懸命に働いて納めた税金をスーパーリッチなラッパーの警護に使うのは止めてください。ハーレムの普通のおじさん・おばさんも50セントのことなんか全然気にしてないです。



3/7
いつもハーレムの道に佇んでいる女性のホームレス。途切れがちな、かぼそい声で「…め、め、恵んでください」と通行人に物乞いをしている。ところがある日、酒屋で「そのブランデーちょうだい!」と大声で買い物をしていたそうだ。(目撃者:うちの夫)ハーレムの住人は皆たくましいのである。



3/9
夕方6時にアパート地下のランドロマットに行くと、帰り支度をしていた修理人の男性が言った。「忙しい一日みたいだね」 私が会社での仕事を終えてから洗濯に来たと思ったのだ。「時にはリラックスしなくちゃだめだよ」と続ける。「あなたもね」と私が言うと「僕の一日はもう終わったよ」とニコニコしながら帰っていった。



3/11
ハーレム再開発もここに極まれり! ハーレムに、なんと「公文」がやってきた。教室名は「Kumon of Harlem」だ。子どもたちよ、ラップやバスケばっかりしてないでKumonでしっかり勉強して、立派な大人になっておくれ。



3/14
友人(20代/黒人男性)が
「ダシキ」を着ていた。ダシキとはアフリカのシャツで、アメリカでも60〜70年代に大流行。あの頃はスティービー・ワンダーやハービー・ハンコックも着ていたな。思わず「それ、お父さんのお古?」と訊いたら「自分で買ったんだよ」と。遠〜い祖国アフリカへの憧れなのだろう。



3/17
ハーレム145丁目はゲットーだ。土曜日の早朝、Aトレインの145丁目駅で発砲事件があった。ところが145丁目の西側は高級住宅地。200万ドル(約2億円)で売買された家もある。ハーレムの七不思議のひとつ。


2/17
ハーレムにクリントン前大統領がオフィスを構えるビルがある。そのビルの側面にはいつもファンキーな広告が貼られていて、今はラム酒のバカルディ。人気ラッパー、
ファットジョーがデカデカと写っていて、キャッチコピーは「いまだにリアル/思うままに生きろ」。ある意味、クリントンにも通じるか。

*ファットジョー=サウスブロンクス出身、プエルトリコとキューバのミックス。地元NYでは絶大な人気を誇る。




3/24
アフリカ音楽に関する取材でセネガル人をインタビューした。日本の雑誌に載せるからと言うと「この歌手はセネガル人で、こっちはマリ人で…」と、西アフリカ諸国の違いを明確に話してくれた。後日、発行された雑誌を見せると「日本の雑誌?」「でも君は中国人だよね」「えっと…中国と日本って別々の国だったっけ?」



3/26
バスルームのドアノブが壊れ、夜中の2時に閉じ込められた。夫を起こして開けてもらったはいいけど修理は私の役目。後日、ドアノブ購入に荒物屋に行くと、ドアはブザーを鳴らして開けてもらうしくみで、中にはごつい見張りの男が腕組みして立っている。きっと何度も強盗にヤラれちゃったんだろうな。



3/29
27日はイースター(キリストの復活祭)だった。ハーレムでも教会に向かう若いマミーはピンクのパンツスーツ姿で、手を引かれている小さな女の子はピンクのふりふりドレス。地下鉄の中では大声で「Happy Easter!」と挨拶する男の子が乗客の笑いを誘ったり。のんびりほのぼのイースターサンデーの風景in ハーレム。







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