NYBCT

2000/04/11

ハーレム135丁目の風景 #01

ハーレムの人たちは、呑気でのんびり。


9日の日曜日は何故か吹雪に襲われたニューヨークだったけれど、それまでは遂に春が来たかと思わせる陽気で、わたしも春麗らなハーレム135丁目を、スカイブルーのパッケージM&Mのクランチ・チョコを食べながら歩いていた。すると、アパートメント・ビルの通りに面した階段の手すりにもたれて日なたぼっこをしていたおばさんが「それ、M&Mの新しいやつ?」と声をかけてきた。新製品っていっても、もう発売されてから1年は経ってるけどなーと思いつつも、「今ちょうど食べ終えてしまったとこ。ごめんねー」と空になった袋を振って見せる。そうすると、おばさんも「イッツ・オ〜ラ〜イ。バ〜イ」と手を振り返す。


しかし、呑気は怠惰もしくは“あきらめ”と背中合わせ。


おばさんを後に残してレノックス・アヴェニューの地下鉄駅へと向かう。日差しは相変わらず暖かく、地面に横たわっている金属板にまぶしく反射している。バス停の標識だ。運転を誤った車に体当たりでもされたのだろう、根こそぎ倒されて舗道に転がってから既に3ヶ月は経っている。友人が溜め息まじりに言う。「これが白人地区なら、あっという間に修理されているだろう。でも、これは僕たち黒人のせいでもあるんだよ。みんな行政に何も期待出来ないことを知っているから、修理の要求さえしない。でも、それでは何も変わらないんだよ。」


春の日差しに誘われて、ハーレムの表と裏が同時に顔をのぞかせた一瞬。

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