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2005/12/24




ハッピーホリデイズ from ハーレム





 
Cal Massey "Angel Heart"






夕暮れ時のハーレム132丁目。家路を急ぐ人もあれば、寒い中、街角でたむろし続ける男たちもいる。


唐突に車の衝突音が響いた。直進する車と、左折しようとしたタクシーがぶつかったのだ。どちらもスピードを出してなかったので、大した事故ではない。


それでも、途端にたくさんの人々が「オー!」と声を上げた。まるで訓練を積んだクワイアのような、完ぺきなユニゾン。それを継いで、ひとりの男が「イエー!」







スト開始前夜。クリスマスショッピング帰りの人が多い地下鉄駅のプラットホーム。デパートやおもちゃ屋の大きな袋を下げた人たちに混じって、ワインカラーのダウンジャケットを着た男性。30代くらい。ジャケットのジッパーを閉めていないから、首から下げた太いゴールドのチェーンとペンダントトップが見える。


最近はホワイトゴールドやシルバーが主流だから、金色のチェーンは珍しい。


よく見ると、チェーンの脇、シャツの胸に小さなピンクのリボンが止めてある。ベイビーシャワーに行ってきたのだ。


アメリカでは妊婦さんの予定日が近づくと、皆で育児用品のプレゼントを持ちよって、ベイビーシャワーというパーティーを開く。おなかの赤ちゃんが女の子ならピンク、男の子ならブルーのリボンが参加者に配られる。


ゴールドチェーンの男性の家族か友だちに、もうすぐベイビーガールが誕生するのだ。







ハーレムのストリート135丁目。ふたりの若い男性が立ち話。やがて話は終わり、ふたりは別れの挨拶。ベースボールキャップを被った青年が言う。"Merry Christmas, man!" (*)





すべての人に
ハッピーホリデイズ
そして
ハッピーニューイヤー


from ハーレム




*多人種・多宗教のニューヨークでは「ハッピーホリデイズ!」という挨拶がよく使われる。けれどクリスチャン同士なら、当然「メリークリスマス!」







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文:堂本かおる