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2000/04/29

インターレイシャル(異人種間)カップル事情
黒人/白人/アジア人


ニューヨークはありとあらゆる人種の住む都市だから、ありとあらゆる組み合わせのインターレイシャル・カップル(異人種間カップル)がもちろん存在するのだけれど、しかしそれは外国人が想像するほどの数では決してない。ほとんどの人種はそれぞれにコミュニティを持ち、その中で限定された社交生活を送るからだ。


黒人も例外ではない。多くの黒人はハーレムや、その他の黒人コミュニティに住み、黒人同士で付き合う。たとえ仕事の場がミッドタウンやダウンタウンにあり、同僚に白人やアジア人がいるとしても、アフター5はやはり黒人同士で、というのが普通だ。ただし黒人とラティーノは居住地区が近く、また文化的にも近いものがあるので、この二者間のカップルは多い。



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統計表を見ると、ある程度の数の黒人男性は、白人女性やアジア人女性と結婚しているけれど、黒人女性のほとんどは黒人男性と結婚しており、異人種の夫を持つ女性は稀だ。


人種の壁のある国に於て異人種の夫/妻を持つということは何かしらのプレッシャーを伴うことなので、それでも敢えて結婚しているカップルのほとんどは心から愛し合い、また、お互いを人として尊重しているはずなのだけれど、実は異人種女性を好む黒人男性には以下のような理由もある。

・黒人女性は男性に対する要求が多過ぎ、また態度があまりに硬直で優しさに欠ける。(と黒人男性は主張する)

・その点、アジア人女性は男性にとことん尽くしてくれる。(と彼らの多くは、この神話を悲喜劇的盲目さで信じ込んでいる)

・白人女性と付き合うということは、被差別者である黒人としての立場を覆す行為であり、男性としての自尊心が満たされる。(白人女性の中には、自分が差別者側であることに対して無意識の罪悪感を持っており、その反動として黒人男性をもてなす、というタイプが存在する)


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一方、男性から“要求が多すぎる、優しさに欠ける”と非難される黒人女性だけれど、彼女たちの厳しい態度には、それなりの理由がある。性教育の不十分さと、男性の無責任さ故に10代、20代前半でシングル・マザーになった女性たちは、妊娠させておきながら結婚してくれなかった“元ボーイフレンド”を事あるごとに責め、また子供の養育費を要求する。一般的に黒人男性にはルーズな面があるので、子供を持たない女性も、失業中の男性をだらしないと言っては責め、良い仕事に付いてはいても結婚したがらない男性をズルいと言っては責める…。


そして黒人に限ったことではなく女性は男性に比べると地域社会にとどまる率が高く、また、いったん母親になってしまうと、女性はさらに行動半径が狭まる傾向にあるので、黒人女性には異人種の男性と知り合うチャンスがほとんどない。これが黒人女性が異人種の夫を持たない理由だと思われる。その結果、黒人女性は彼女たちの唯一のターゲットである黒人男性と付き合う白人女性/アジア人女性を“私たちのMenを横取りした”という理由により嫌うことが多々ある。


また、白人男性の多くは黒人女性に対して、禁断の木の実的な性的ファンタジーを持ってはいるのだけれど、所詮白人と黒人は別の世界に住んでいるんだという思い込みから、結婚という社会的ステイタスにかかわる関係へとは進みたがらない。また、一般的に好みや態度のはっきりしている黒人女性にとって、シャイなアジア人男性は悲しいかな、問題外なのである。



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