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2001/01/24

最近のニュースあれこれ
New York Timesより


今回はちょっと気楽に、最近のニュースからのピックアップを3種。




●●ゲイ・コミュニティ in ハーレム

 ニューヨークではグリニッチビレッジのクリストファー・ストリートがゲイのコミュニティとして有名だけれど、近年、多くのゲイがチェルシーに移り、今や8thアベニューはゲイのメッカとなっている。ところが、さらに最近、ハーレムへ移り住むゲイが増えている。


 ハーレム126丁目とセント・ニコラス・アヴェニューの角に“ゲイ・ビルディング”と呼ばれるアパートメント(日本で言うところのマンション)がある。全75世帯のうち、実に半数がゲイだという。


 近年、ハーレムでは再開発が進み、商業施設だけではなくアパートメントやブラウンストーンと呼ばれるタウンハウスの改装・新築が相次ぎ、ゲイに限らず白人、黒人の中流層が増えてきている。それに伴い不動産取引に絡む汚職や詐欺も話題になることが多く、1/15付New York Times には、ハーレム121丁目のブラウンストーンを買おうとして不動産詐欺にあった白人ゲイ・カップルの記事が掲載されていた。


 それはともかく、ハーレムに移り住んだゲイたちはインタビューにこう答えている。「ここはチェルシーじゃないから、表でおおっぴらにハグやキスは出来ないけれど、近所の人たちは、だいたいにおいて親切なんだよ」





●●ブッシュ政権・外交のキーを握る人物

 すったもんだの揚げ句、ついにブッシュが第43代アメリカ大統領の座についた。当然メディアは加熱状態だけれど、でも、どちらかと言うと去ってゆく人クリントンの報道が多いような気がする。いろいろとお茶目なこともしでかしたクリントンだけれど、やはり国民は彼を愛しているのだ。一方、ブッシュ政権についての記事は、外交の要となるふたりの人物、国務長官コリン・パウエル、国家安全保障問題担当補佐官コンドリーザ・ライスをフィーチャーしたものが多い。二人とも黒人で、さらにライス氏は女性。この二重マイノリティ・チームがアメリカ外交のキーを握ったことは、実は驚くべき出来事。

 黒人一般市民はもちろん喜んでいる。たとえ彼らが嫌っている共和党政権であるにせよ、一度にふたりもの黒人が政治のトップ・ステージに立ったのだ。しかも両者揃ってキャリアが豊富で、ブッシュ大統領がこのふたり無くしては外交政策を進められないのも周知の事実だから。1/14付New York Times Magagineには、手にした地球儀を不思議そうに眺めるブッシュ大統領を挟んで、その右側に笑顔で立つライザ氏、左側に何かを指図するかのように人差し指を振りかざすパウエル氏、という大きなイラストが掲載されていた。


 (パウエル氏は以前から国民的な人気を得ており、一度は彼自身の大統領選への出馬も取沙汰されたほどの人物。しかしながら彼はジャマイカ系であり、実はアフリカン−アメリカンたちは、そこがほんの少しだけ気に入らないのも確か)


 とは言え、ふたりのポジションは国家の存亡を左右する、本当に重要なもの。ふたりがマイノリティであることについて触れた記事には、まだお目にかかっていない。つまり、ふたりは黒人としてではなく、政治家として注目、評価、もしくは期待されているのだ。





●●ハイチ → ブルックリン → カーネギーホール

 ワイクリフ・ジョンはハイチという、ほとんどカリブ海諸島一貧しい小さな島国の出身。まだ小さな子供だった頃に、彼は牧師である父親、母親と共にニューヨークのブルックリンに移住し、そこで弟妹のメルキー/セデックが生まれている。おそらく、この出生地の違いがカリビアン音楽にこだわるワイクリフと、クラシックに傾倒しているメルキー/セデックの音楽性の違いの理由だと思われる。


 ワイクリフはだけど、カリビアン音楽を多用すると同時に、ありとあらゆる音楽〜ジャズやブルースはもちろん、カントリーからシャンソン、クラシックまで〜を巧みに使いこなす。また、彼は“ワイクリフ・ジョン基金”を設立し、ハイチの子供たちに楽器の寄付などを行っている。


 こういったバックグラウンドを持つワイクリフが、1月19日にニューヨークのカーネギー・ホールでチャリティ・コンサートを開いた。ニューヨークのエンターテインメントの殿堂として歴史と権威を誇るカーネギー・ホールで、ヒップホップ系のコンサートが開かれたのは初めてのことだという。ここにワイクリフは、ホイットニー・ヒューストン、メイシー・グレイ、メアリ・J・ブライジ、エリック・クラプトン、スティーヴィー・ワンダー、デスティニーズ・チャイルド、マーク・アンソニー、メルキー・ジョン、果てはシャルロット・チャーチまで、実に豪華多彩なゲスト陣を招いた。


 このコンサートはチャリティ目的なので、実に85ドルという、アメリカのコンサートとしては破格のチケット代であったので、実は私は行っていない。そこで以下は1/21付New York Timesからの引用。


 … メイシー・グレイはピンク・フロイドの「あなたがここにいてくれたら」、ホイットニーはワイクリフが彼女のために書いた「マイ・ラヴ、ユア・ラヴ」のディープ・レゲエ・ヴァージョン、クラプトンも「ワンダフル・トゥナイト」のレゲエ・ヴァージョンを歌い、メアリ・Jはワイクリフと「911」をデュエット。またワイクリフが組織している音楽教育プログラムの子供たち“クリフズ・キッズ”も一曲披露。(デスティニーズ・チャイルドだけは、リーダーのビヨンセを除いては、実は歌えないグループだとあった)…


 ライヴCDの発売を待つ。

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