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ブラックミュージック!!
ヒップホップからゴスペルまで

湧き出るリズム。渦巻くグルーブ。滲み出るソウル。時には思いっきりファンキーで、時には涙が出るほどに切なく、時にはばかばかしいほどに楽しいブラックミュージック。その背景に迫る。




 毎日の生活に、どれほどブラックミュージックが浸透しているか、考えてみたことがあるだろうか。ラジオやテレビのチャート番組で上位をしめているのは最新型のヒップホップやR&B、レストランのBGMとして流れているのはしっとりと落ち着いた古いジャズ、日曜日におそるおそるのぞいてみる黒人教会で私たちを圧倒するのは、もちろんゴスペル。さらに街ですれ違う年配の人が低い声で口ずさんでいるのも、懐かしいモータウンのヒット曲だったりする。


 さらによく考えてみれば、歌っている、もしくは演奏しているのが黒人だからという理由で、こんなにも様々な種類の音楽を“ブラックミュージック”と総称してしまうのは、一見、あまりにも安直に思える。しかし、ストリートの若者たちが生み出したヒップホップと、教会の中で神を称えるために歌われるゴズペルには、共通する“何か”がある。私たちには窺い知ることも出来ないその“何か”とは、アメリカに置ける黒人の歴史と文化によって育まれ、世代を超えて受け継がれてきたものなのだ。


 ブラックミュージックを、その背景を一切気にせず、純粋に音楽として楽しむことはもちろん可能だし、それはある意味で正しい音楽の聴き方なのかもしれない。しかし、アメリカという国と、アメリカに住む黒人の関係を知ることで、ブラックミュージックへの理解は格段に深まる。彼らの音楽からほとばしりでる“何か”を、私たちがどこまで吸収できるのかは分からないけれど、それでもアメリカに暮らし、ブラックミュージックを聴くのであれば、彼らの音楽と、この国の過去を少しだけ遡ってみよう。


1: ヒップホップ/モス・デフ
2: R&B ソウル/オーティス・レディング
3: モータウン/ダイアナ・ロス
4: ジャズ/マイルス・デイヴィス
5: ブルース/スリーピー・ジョン・エスティス
6: ゴスペル/カーク・フランクリン
7: 年表で見るブラックミュージックの歴史

U.S. Front Line No.168(2002/08/20号)掲載記事
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