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(初掲 2004年7月) |
■チャーリー(仮名)(30代) エスニック:東アジア系 職業:ライター 居住地:ニューヨーク 滞米期間:10年以上 特定のエスニック・グループが中核を成している業界が存在する。ユダヤ系が中心の映画界でアジア系が成功する可能性は? 映画関連のライターになるため、5年ほど前にニューヨークに移ってきた。もっとも最初は隣りのニュージャージー州に住み、マンハッタンに通っていた。あそこは、とにかく最低だった。アイルランド系、イタリア系など、白人の多い地区で、私が白人女性と一緒に歩いているたびに、白人男性が道を塞ぐなどの嫌がらせをしてきた。 それに心底ウンザリしてマンハッタンの、アーティストの多いグリニッチビレッジに越した。そこは多人種で、気質的にも開放的な地区なので、とても良かった。ただし、9.11テロ事件のあとにいったん仕事を無くし、家賃の安いラティーノ地区(ワシントンハイツ)に引っ越さざるを得なかった。 ラティーノ地区でも特に問題はなかった。数は少ないが友人も作った。ただ、刺激の少ない退屈な街だったので、クイーンズ区のアジア系地区(エルムハースト)に越した。そこに今も住んでいるが、アジア系の街とはいっても、私とは出身国の違う人間も多いし、私はグリニッチビレッジに友人が多いので、ここが自分にとって特に居心地のいい場所とも、そうでないとも思わない。 ■政治的に正しいこととは? 私は映画関連の作家なわけだが、ご存知のように映画業界はユダヤ系に牛耳られている。これには腹が立つ。以前、シカゴでコンピュータ・プログラマーをしていた頃は、仕事上で人種差別をされた記憶はない。コンピュータの世界ではインド系を始め、多くのマイノリティーが活躍しているし、実力第一の世界だから。 ところが映画界は違う。技術者など裏方は別だか、映画監督や役者など、表舞台で活躍している第一線のアジア系を何人挙げられる? ごく少数だ。以前、通っていた脚本のライティングクラスにおいてさえ、ユダヤ系の学生が書いたものが高く評価される傾向にあった。 そもそもアメリカ人は、何かと言えばすぐに「ポリティカリーコレクト(*)」を持ち出すが、実際にはとても差別的だ。私はこれまでヨーロッパ女性やラティーノ女性とは問題なく付き合ってきたが、アメリカ女性はアジア系男性とは付き合いたがらない。言っていることと、やっていることが大違いだ。 *ポリティカリーコレクト=政治的に正しいとされること。具体的には、たとえ人種差別意識を持っていても、それを公の場では表わさないようにし、公平な表現、態度を表わすこと ■見えない境界線〜人種差別 Nowインタビュー: 1)イレイニー ドミニカ系アメリカ人(ラティーノ) 2)シドニー アフリカ人/ハイチ人/アメリカ人 3)ヴィンセント + アントワネット プエルトリコ系+アフリカンアメリカン + アフリカンアメリカン 4)エリカ + マーク 日本人 + アフリカンアメリカン 5)チャーリー 東アジア系移民 6)ニコラス スロバキア人移民 ※ U.S.FrontLine その他の記事 |
U.S. FrontLine No.219(2004/07/第1週号)掲載記事
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文・写真:堂本かおる