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2002/06/01

ハーレム徒然5月編
-2002年-


5/1 ハーレムの路上に停めてあったパトカーのダッシュボードに、前日ブルックリンで起った警官射殺事件を伝える新聞が置いてあった。警官は白人、犯人は黒人だった。


5/2 ハーレムで写真撮影中のこと。ひとりの男が「ヨー!オレを撮ってよ!」とポーズを取ったので仕方なくパチリ。次の瞬間、急に不安になったらしく「テレビには出しちゃダメだぜ」。君みたいなチンピラ・ドラッグディーラー、仮にテレビに写っても誰も逮捕になんか来ないよ。


5/3 ハーレムにダンバー・アパートメントと呼ばれる歴史的な建物がある。今では西アフリカからの移民がたくさん住むアパートになっていて、その中の誰かが1階にアフリカ食料品店を開いた。移民のコミュニティって、こうして作られていくのだ。


5/6 年配のおばさんは、ソファが汚れるのを恐れて透明ビニールのカバーをかけて使う。座り心地は当然悪い。うちのお向かいさんは、ドアマットにもビニールを被せている。ドアマットとしての役目は当然果たしていない。


5/7 今日はハーレムYMCAでちょっとしたイベントがある。ゲストはモス・デフとLLクールJ。二人のうち、どちらかにドタキャンされる確率が50%はあると思う。逆に二人とも来たら驚くなあ。


5/8 (昨日の続き)やはりLLクールJは来なかった。代り(?)にヒラリー・クリントン上院議員が参上。モス・デフはちゃんと来てくれたけど、YMCAの子供に「ラッパーなの?」と訊かれていた。


5/9 ハーレムの新しいコンピュータ教室のオープンを伝えるテレビ・ニュース→「ハーレムの子供たちをまったく新しい世界に運びます」。…ハーレムって第三世界みたいな扱いをされるのだ、中央のメディアからは。


5/10 何ヶ月も前に20ドルを貸したアパートの修理人カーティスが、やっと返しにきた。「数年前、ギャングに絡まれて腕を撃たれたときの補償金がやっともらえたから」だそうだ。


4/13 こちらではヒマワリやカボチャの種はナッツのようにして食べる。口の中でカラを割り、中身だけ食べてカラは床に吐き出す。地下鉄の中でそれをやる若い黒人の、特に男! 君たちの辞書に「公衆道徳」という言葉はないのか。


4/14 頭を剃っている人たちは、髪がないから顔と頭部の境目がはっきりしない。だから顔につけたローションを、そのまま手で後頭部まで延ばして塗ってしまう。


4/15 黒人男性と道を歩いていたら、通りすがりの、これまた黒人男性が「結婚してるのか? なら早く子供を作れよ!」と、意味不明なエールを送ってくれた。


5/16 消防車のサイレンがあまりにうるさいので表をのぞいたら、向かいの廃虚ビルがものすごい勢いで燃えていた。腰を抜かした。きっとホームレスの仕業だろう。これがゲットーで暮らすことのリスクのひとつ。


5/21 週末にスパニッシュ・ハーレムを歩いたら、通りすがりの男が「ヘイ、チャイナ・マミー!」と声をかけてきた。こちらは黒人地区ではなく、プエルトリカン地区だけど、男の単細胞は人種を問わないみたい。


5/22 スパニッシュ・ハーレムにはDELA VEGAという若いアーティストがいる。巨大アフロのカツラを被って、そこら中の壁にグラフィティを描きまくっているけれど、メッセージは「君自身の夢をかなえよう」。


5/29 "NY VISIT 1000"でアポロ劇場にお越しいただいた皆さま、ね、ハーレムは全然コワくなかったでしょう? お土産のバッグを持って125丁目を歩く皆さまを、嬉しく思いながらお見送りした次第です。


5/30 大家のミセス・バードのご主人が亡くなった。お葬式の告知には“バード”ではなく、他の姓で記されていた。そうか、本当の夫婦じゃなかったんだ。しかもアパートはミセス・バードの名義だし。いろんな人生がハーレムにもある。


5/31 ハーレムのアフリカン・ダンス教室を見学した人によると、生徒はアフリカ人のおねえさんばかりで、皆、物凄い勢いのドラムに合せて、何かの魂が乗り移ったように踊っていたそうだ。




ハーレム徒然1月編
ハーレム徒然2月編
ハーレム徒然3月編
ハーレム徒然4月編
ハーレム徒然5月編
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